禁煙
禁煙するための優先順位
禁煙するためのテクニックはさまざまなものがあります。催眠療法、薬物療法、代替え療法、セラピー、ひたすら我慢などです。どれもメリットとデメリットがあります。禁煙を成功させるためにはクリアしないといけないポイントがいくつかあるので、少しまとめてみようと思います。まず1つ目は離脱症状です。2つ目は喫煙の脱価値化です。いいかえると必要だったものが意味がないというふうに認知的に変化がおこることです。3つ目は消去です。ニコチンを摂取しなくなると報酬がなくなるので、渇望そのものが弱まっていくという現象です。1つ目の離脱症状についてはニコチンが身体から排出される数週間はイライラや落ち込みなどがあります。これについての軽減は薬物療法が理にかなっていると思います。セラピーではイライラを抑えることはできません。しかし環境調整によってそれを生じにくくしたり、イライラに対する捉え方を変えて、苦痛を軽減することは可能です。禁煙セラピーでの失敗で多いのはこの数週間に吸ってしまうということです。一方薬物療法では脱価値化は期待できません。これは情報によって変化するものです。消去については微妙です。消去は渇望があったけれど報酬が与えられないというプロセスの中で起こるので、薬物療法では中程度ではないでしょうか。2つ目の脱価値化については禁煙セラピーで多くの時間を費やしているところです。我慢では脱価値化は起こりません。ニコチンパッチや節煙ではは脱価値化も消去もおこりません。あるのは離脱症状の軽減ですが、そもそもニコチンを摂取しているので離脱ではありません。ここで問題になるのは少しずつ減らして、最終的に禁煙者になるかといえば、「厳しい」という答えになります。ニコチン量を減らすことは渇望の戦いに明け暮れることになりますので大変です。我慢はどうでしょうか。離脱症状と脱価値化には何も貢献しないでしょう。3つ目の消去に貢献する可能性がありますが、再喫煙すると喫煙行動が強化されますので逆効果です。依存症の克服には渇望を乗り越えるためのテクニックが必要です。我慢はあまりにも原始的で、渇望に敗北する可能性があることと、常に我慢しなければならず、ストレスも大きいと言えます。セラピーでは渇望をさらりと乗り越えるテクニックを伝えることができるので、消去に対しても貢献できる可能性があります。以上を考えると薬物療法とセラピーの併用が成功率を高める可能性が高いといえます。ただ依存症の厄介なところは数年で再度使用してしまうリスクが高いところです。だれかに誘われて吸ってしまったという体験談は枚挙にいとまがありません。それを考えると禁煙を決断するにあたってセラピーや情報収集によって脱価値化をしっかりとしておくことをおすすめしたいと思います。ちなみに禁煙の健康被害ついての情報は禁煙するきっかけにはなりますが、継続的に支援することは期待できません。喫煙者は健康被害があることなど百も承知で吸っているのですから。喫煙する意味がないことを理解する方が禁煙を容易にしてくれると考えます。