禁煙
対人関係
薬物を使用してみようとしたきっかけですが、心理的喪失感が大きく作用していることが少なくありません。タバコを吸うきっかけとなったことといえば、失恋、進路が希望に沿ったものでなかったこと、家族不和などが背景になったことがあるかもしれません。思春期に非行化する場合に、タバコが介在していることが少なくありません。非行グループを形成するには何等かの強力な結びつきが必要となります。共通の非行行為によって仲間である感覚が強まっていくので、タバコはうってつけのツールになります。以上のプロセスは薬物摂取によって喪失感を埋めわせたいということから生じるものです。社会人ではどうでしょう。禁煙すると何時もの喫煙場所にいく必要がなくなります。ここで大きな問題が生じます。一つはストレスとなっている職場の環境から離れる口実がなくなることです。常に緊張状態を強いられるのではないかという不安が強くなります。2点目は何時も喫煙場所で話していた仲間と接触する機会がなくなってしまいます。また、こうしたことから孤立するのではないかという恐怖感から、禁煙する決断ができなくなっていることも考えられます。高校に通学しながら働いている方はどうでしょうか。年齢的には弱い立場です。また学業と仕事を両立していかないといけないので、不安定な立場です。そこで職場の方との関係を強めていく必要があるのです。そこでつい未成年にもかかわらず喫煙してしまうのです。しかしここで大切なことは、喫煙場所にいかなくてもリラックスする時間や場所は存在しており、喫煙場所以外でもコミュニケーションを取ることは可能なのです。家族の結束を高めるために喫煙を推奨する人いるでしょうか。もしそうであれば理想的で関係の良好な家族は一家団欒で喫煙しているはずです。そのような家族を私は見たことはありません。喫煙でつながっている仲間関係は結局のところ薬物のつながった偽りの関係であって、長期的に信頼する関係にはなりにくいのです。ちなみに覚醒剤を夫婦で使用しているケースではなかなかやめにくいかと思います。薬物摂取によるセックスの快楽を忘れることができないのです。タバコも夫婦で吸っている場合もやめにくいのです。一人がやめようとしても、もう一人がやめていない場合は、そこに実際のタバコや灰皿やタバコ臭、ライターは存在しているのですから。タバコを介在した人間関係は建設的とはいえない場合が多いのです。