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カウンセリング

MMPI-3のメリットや比較について

MMPIは世界中の精神科で多く使用されている心理テストです。しかし、日本では人気がありませんでした。1つは文化的な違いが挙げられます。欧米などのキリスト教圏では問題ないのですが、日本ではあまり馴染みのない聖書的な解釈などが含まれており、しっくりしませんでした。また以前は質問項目が550もあり、クライエントにとって大変負担となるものでした。こうしたこともあり日本ではMAPIよりもロールシャッハテストの方が多く実施されてきました。保険点数なども影響しているかと思います。しかし、MMPI-3が出たことにより、このような文化的な問題、あるいはジェンダーといった問題がクリアになりました。質問項目を550から335と少なくなり、クライエントにとってかなり負担の小さいものとなりました。実施時間は約40分で多くのカウンセリング時間の枠である40〜50分に収まるものとなっています。ロールシャッハではコーディングの正確さや解釈などによって、医療スタッフによっては意見の相違、あるいはクライエント自身が結果に納得しないような場合もありますが、MMPI-3の場合は数値で表現されているので、他職種の方にもわかりやすいものとなっていますし、クライエントへの説明もかなりスムーズに伝達することができます。さらに希死念慮といった自殺リスクがある場合、優先してレポートされるので、自殺予防にも有効と考えられます。このテスト結果は多重構造となっていて、懸念すべき項目がスラスター化されていて、ウェクスラー式の発達検査と類似しています。下位の項目を多くあります。質問紙の心理テストの多くは不安、鬱、ASDといった特定の障害の程度を見るものが多く、継続面接で別の問題に気づくと、再度、別の検査をしなければいけないということも多くあります。しかしこのMMPI-3ではパーソナリティ全体を把握することができるので、最初に1回実施しておくと見落としが少なくなると思われます。さらに今回の改定で人格障害や摂食障害といった項目も追加されており、以前のバージョンに比べてDSMに準拠していることで分かりやすさという点で便利になりました。また、他の質問紙では確認することが少ない家族問題、あるいは生活レベルにおける認知機能の低下、物質依存といったものまで、ある程度把握することができるのも良い点です。MMPI-3は自動採点プログラムがあるので採点する時間もかなり短縮されることとなりました。ロールシャッハに比べるとかなり楽と言うのが正直なところです。心理療法を行う上では、初回にこのテストをしておくと見落としが少なくなるように思います。ロールシャッハでは解釈によってはクライエント本人あるいは医療チームに結果を伝えることが、その内容によっては難しいこともあります。しかしこのテストでは結果がわかりやすいため、疑問に思われることも少ないように思います。テストは医療に限られたものではなく、職場や学校といった広い環境にも用いることができると考えられます。残念なのはこのテストは18歳以上ということなので、子供に用いることができませんが、発達検査のように、子供版のMMPIができればいいなと思います。統合失調症の前駆症状を把握できるようなツールがあれば、早期治療にもなりますし、引きこもりを防ぐことにも繋がります。内容は変わりますが、会社で行われているストレスチェックについては、あくまでストレスに対する確認をしています。しかし、このMMPI-3はストレスだけではなく、対人関係の難しさや注意、記憶に問題、不安傾向、自己効力感など多くの項目をすることができます。こうしたことによって被験者が客観的に自らの性格を把握することができるのはとても有用なことであるではないでしょうか。なぜならば、多くの人は、自分の性格が他者と比べてどういう傾向にあるかについて把握することが困難だからです。最後になりますが、このテストの大きな利点があります。それはオンライン上で実施することが可能ということです。結果的にこれは被験者、実施者共に負担が少ないのではないでしょうか。

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