禁煙
我慢するより行動と意識を変える
白熊実験というのをご存知でしょうか。これは1987年に心理学教授ダニエル・ウェグナー氏らが発表した研究で、内容としては以下のような内容です。
白熊に関する50分程度の映像を被験者に見せます。これをA,B,Cの3つのグループに分けます。Aグループには「白熊のことを覚えておいてください」、Bグループには「白熊のことは考えても考えなくてもよいです、どうぞご自由に」、Cグループには「白熊のことだけは考えないでください」です。1年後にどのグループが白熊のことを一番よく覚えていたかというと・・・答えはCグループでした。この実験から色々なことが推論されます。依存症を克服しようと思ったとき、あるいはダイエットをしようとしたときにまず考えるのは「禁止」あるいは「節制」になります。タバコをやめよう、あるいは本数を減らそうと考えるのが一般的です。ダイエットの場合も同様です。しかしここに落とし穴があります。禁止すればするほど、節制しようとすればするほど禁止・節制しようとする対象物(禁煙の場合はタバコ)のことを意識の中で想起してしまいます。それだけならよいのですが、その対象物に関連する記憶や感情も想起される可能性が高まってしまいます。喫煙したときのすっきりした感覚や喫煙仲間との談笑などです。こうなると葛藤が生じて、次の流れとして渇望が生じます。禁煙を永続的に成功させるには、葛藤、渇望状態にいたらないようにすることがまず必要です。方法としては思考で「禁止」するのではなく、こうしたことが想起された場合には、行動に移すのが比較的やりやすいやり方です。掃除をしたり、歯を磨いたりするのもよいでしょう。タバコの場合は朝に渇望が強まります。朝の一服はおいしいと感じるものです。渇望が生じたら、まず行動に移すことが大切です。もうひとつはイメージです。成功したイメージ、たとえばタバコの奴隷状態から解放されて元気はつらつして行動しているイメージです。こうしたポジティブなイメージを想起することで渇望という誘惑を回避することができるかと思います。こうしたこと方法を繰り返していくうちに、タバコそのものを想起されなくなる、あるいは嫌悪するようになります。この状態にいたれば禁煙は成功したと理解してよいかと思います。