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ブログ | 心の傷を癒す新しい選択肢。オンラインで手軽に。EMDRとフラッシュテクニック ソマティックエクスペリエンシング

ソマティック・エクスペリエンシング™︎

ソマティック・エクスペリエンシング(SE)とフォーカシング(特にアン・ワイザー・コーネルの理論)の応用ケース

トラウマケアの現場で注目されている「ソマティック・エクスペリエンシング(SE)」と「フォーカシング(特にアン・ワイザー・コーネルの理論)」の統合。これら二つのアプローチを組み合わせることで、単なる症状の緩和を超えた、深いレベルでの自己変容が可能になります。

高速道路での運転恐怖症を抱えるクライアント「Aさん」の事例を通じ、臨床においてこの融合がどのように機能するのか、その具体的なプロセスを解説します。

事故のトラウマを乗り越える:神経系と「内なる対話」の統合プロセス
1. プレゼンスの確立:受容的な場を作る
トラウマケアの第一歩は、セラピストとクライアントの間に「安全な場」を築くことです。コーネルの理論では、これを「プレゼンス」と呼びます。

セッションの冒頭、Aさんは高速道路への不安から呼吸が浅くなっていました。ここでセラピストは、何かを無理に変えようとするのではなく、今の状態をそのまま認めることから始めます。

臨床での言葉がけ:
「今、ご自身の中で何が起きているか、まずはただ一緒に眺めてみましょう。無理に落ち着こうとしなくて大丈夫です。森で見かけた小さな生き物にそっと挨拶を送るように、今の感覚に『ああ、そこにいるね』と心の中で声をかけてみてください。」

2. 「部分化」による脱同一化:苦しみを観察可能な対象へ
Aさんが「胸が苦しくてたまらない」と訴えた際、SEの「トラッキング(微細な観察)」と、コーネル流の「部分化(Partializing)」を同時に適用します。

「私が苦しい」という状態から、「私の中に苦しんでいる部分がある」という表現に変えることで、パニックに飲み込まれるのを防ぎ、観察者としての視点を確保します。

臨床での言葉がけ:
「『私は苦しい』という言葉を少し変えて、『私の中に、ぎゅっと締め付けられている部分がある』と言ってみましょう。その感覚からほんの少しだけ距離を置いて、その感触や温度を優しく見守ることはできそうですか?」

3. タイトレーション(滴下)とリソースの強化
SEの核心技法である「タイトレーション(少しずつ進めること)」を用い、神経系が処理できる範囲でトラウマに触れていきます。

足の裏の接地感や背もたれの感触といった「リソース(安心の拠り所)」を確認する際も、コーネル流の共感的な肯定を織り交ぜ、身体の安心感を「確かなもの」として定着させます。

臨床での言葉がけ:
「今、足の裏で床の硬さを感じている『落ち着いた部分』がここにありますね。その部分に対して、『守ってくれてありがとう』と心の中で伝えてみてください。神経系に『今は安全なんだ』という余白を少しずつ作っていきましょう。」

4. 凍りつきの解除と「守護者」との対話
事故のイメージに触れた際、Aさんの身体は「凍りつき(フリーズ)」の状態に入りました。ここでSEの生物学的アプローチと、フォーカシングの心理学的アプローチが深く融合します。

SEの視点: 筋肉の硬直が「熱」や「微細な震え」として排出されるのを待ち、生理的な防衛反応を完了させます。

コーネルの視点: その硬直を「邪魔な症状」ではなく、**「あの時、あなたを必死に守ろうとしてくれた存在」として扱います。

臨床での言葉がけ:
「その体の固さは、2年前のあの瞬間、あなたを衝撃から守ろうと全力で働いてくれた『盾』なのかもしれません。その部分にこう伝えてみてください。『あの時は守ってくれてありがとう。でも、今はもう大丈夫だよ。ゆっくり休んでいいんだよ』と。」

結末:神経系の再調整と内なる関係の変容
ワークを通じて、Aさんは胸の締め付けが「あの時、踏み込みたかったけれど間に合わなかったブレーキ」の未完了なエネルギーであることに気づきました。

SEの手法で足に微細な運動感覚(ブレーキを踏む動きの完了)を取り戻し、コーネル流の対話で「震えていた内なる自分」を受容したことで、彼女の神経系は本来の柔軟性を取り戻しました。

数回のセッション後、Aさんは再びハンドルを握れるようになりました。
「緊張がゼロになったわけではないけれど、怖がっている自分を、落ち着いた自分が隣で見守っている感覚がある」
彼女のこの言葉は、神経系の調整と自己との和解が同時になされたことを象徴しています。

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