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ブログ | 心の傷を癒す新しい選択肢。オンラインで手軽に。EMDRとフラッシュテクニック ソマティックエクスペリエンシング

ソマティック・エクスペリエンシング™︎

あがり症や過度な緊張に悩み、日々を懸命に過ごされているあなたへ <ソマティック・エクスペリエンシシングについて>

人前に立つと声が震える、心臓の鼓動が耳元まで聞こえてくる、頭が真っ白になって言葉が出てこない……。そんな経験を繰り返すと、「自分はメンタルが弱いのではないか」「性格を変えなければならないのではないか」と、自分を責めてしまうこともあるかもしれません。

しかし、ソマティック・エクスペリエンシング(SE™)の視点からお伝えしたいのは、それはあなたの性格のせいでも、努力不足のせいでもないということです。それは、あなたの「神経系」が、あなたを守るために懸命に働いてくれている証拠でもあります。

ここでは、ピーター・リヴァイン博士が提唱したSEの知恵と、その土台となるポリヴェーガル理論を交えながら、私たちがどのようにして「緊張」という苦しみから解放され、本来の伸びやかさを取り戻していくのか、その道のりを丁寧にお話ししていきます。

神経系という「目に見えない守護者」の正体
私たちは普段、意識(頭)で自分の行動をコントロールしていると考えがちです。しかし、緊張やあがり症のスイッチを入れているのは、もっと深いところにある「自律神経系」というシステムです。

ステファン・ポージェス博士が提唱した「ポリヴェーガル理論(多重迷走神経理論)」は、私たちの安全を守る仕組みを3つの段階で説明しています。

一番外側にあるのが「社会的関わりシステム」です。これは私たちがリラックスし、他者と笑顔で交流しているときに働いています。この状態のとき、私たちの声は抑揚に富み、表情は豊かで、相手の言葉を落ち着いて受け止めることができます。

しかし、ひとたび「ここは危険だ」「評価されるかもしれない」という脅威を感じると、神経系は瞬時に次の段階である「交感神経系(闘争・逃走反応)」へと切り替わります。これが、私たちが感じる「緊張」の正体です。心拍数は上がり、呼吸は浅くなり、筋肉はいつでも動けるように硬直します。

さらに、その緊張が限界を超えると、最後の防衛手段である「背側迷走神経(凍りつき反応)」が発動します。これが、スピーチの途中で頭が真っ白になったり、体がすくんで動けなくなったりする現象です。これは、野生動物が捕食者に捕まったときに「死んだふり」をして痛みを麻痺させるのと同じ、生命維持のための最終防衛ラインなのです。

あがり症の方は、この神経系の切り替えが非常に敏感になっていたり、過去の経験から「凍りつき」の回路が定着してしまっている状態にあるといえます。

癒しのプロセス:無理に変えるのではなく「寄り添う」
SEのセラピーにおいて、私たちが最も大切にしているのは「無理をしないこと」です。緊張を気合でねじ伏せようとしたり、無理にポジティブな思考で上書きしようとしたりすることは、すでに過敏になっている神経系にさらなる負荷をかけることになりかねません。

ピーター・リヴァイン博士は、野生動物が命の危険にさらされた後、体を激しく震わせることで、そのとき蓄えた膨大なエネルギーを放電し、トラウマを負わずに日常に戻ることに着目しました。私たち人間も、本来はその「放電」の力を持っています。ただ、現代社会において、震えたり泣いたりすることを抑圧してしまったために、そのエネルギーが体の中に閉じ込められ、慢性的な緊張として残ってしまっているのです。

SEの治療プロセスは、この「閉じ込められたエネルギー」を安全に少しずつ解放していく旅です。

最初のステップ:安全な避難所(リソース)を見つける
治療の初期段階では、あがってしまう場面について深く掘り下げることはしません。まずは、あなたの体が「ここは安全だ」と感じられる感覚を育てていきます。これを「リソースの構築」と呼びます。

お気に入りの椅子の背もたれの感触、窓から見える木々の緑、愛犬の温かさ、あるいは過去に感じた誇らしい瞬間。それらを思い出したとき、あなたの体のどこが少しだけ緩むでしょうか? 足の裏が地面についている感覚、お腹のあたりのわずかな温かさ。こうした小さな「心地よさ」に意識を向ける練習をします。

これは、荒波(緊張)に立ち向かうための「錨(いかり)」を下ろす作業です。この錨がしっかりしていれば、強い緊張の波が来ても、あなたは飲み込まれずに済むようになります。

滴るように少しずつ:タイトレーションの魔法
SEの最大の特徴は「タイトレーション(滴定)」という手法です。化学実験で、強い反応が起きないように液体を一滴ずつ慎重に落とすように、トラウマや緊張の種も、あなたが扱える最小の単位で扱っていきます。

例えば、100人の前で話すことを想像すると、心拍数が跳ね上がってしまうなら、まずは「部屋のドアの前に立っている自分」だけを想像します。そこで体に何が起きるかを、実況中継するように観察します。

「あ、今、肩が少し上がりました」「喉の奥が少しキュッとしています」

このように、感情に飲み込まれるのではなく、身体感覚として客観的に観察することで、神経系は「あ、この程度の刺激なら耐えられる」と学んでいきます。

振り子のように行き来する:ペンデュレーション
次に、先ほどのリソース(心地よい感覚)と、タイトレーションで触れた微かな緊張(不快な感覚)の間を、振り子のように行き来します。

緊張に少し触れては、安全なリソースに戻る。これを繰り返すと、神経系は「緊張しても、必ずリラックスに戻れる」という弾力性を取り戻していきます。これを「ペンデュレーション」と呼びます。

このプロセスを通じて、あなたは「緊張=怖いもの・排除すべきもの」という認識から、「緊張=今、エネルギーが高まっているサイン」という、より受容的な捉え方へと変化していくでしょう。

完了への導き:体が知っている「放電」の形
セッションが進むにつれ、体の中に溜まっていた古いエネルギーが動き出します。それは、深い溜息として出るかもしれません。指先や足がかすかに震え出すかもしれません。あるいは、じわっとした汗や温かさ、涙として現れることもあります。

これらは、かつて「闘争・逃走」のために準備されたけれど、使われずに凍りついていたエネルギーが、ようやく解放されているサインです。私たちはこれを「完了」と呼びます。

この放電が起きると、多くのクライアント様は「視界が明るくなった」「呼吸が深くなった」「肩の荷が下りた」という深い安堵感を口にされます。

あなたが本来持っている「レジリエンス」を信じて
あがり症を克服するということは、緊張しない人間になることではありません。緊張したとしても、その感覚を自分の体の中で受け止め、必要に応じて適切に解放し、またリラックスした状態に戻ってこれるようになることです。

ピーター・リヴァイン博士は「トラウマは終身刑ではない」という言葉を遺しています。私たちの神経系には、どんなに深い傷や、長年の悩みであっても、自己調整し、癒えていく力が備わっています。

あなたはこれまで、その緊張のおかげで、多くの困難な場面を必死に乗り越えてきたのではないでしょうか。あなたの神経系は、不器用ながらも全力であなたを守ろうとしてきたのです。これからは、その神経系を敵として戦うのではなく、良きパートナーとして、対話を始めてみませんか?

SEのセッションは、その対話の方法を学ぶための静かで温かな時間です。焦る必要はありません。一滴ずつ、あなたのペースで、体が「もう大丈夫だ」と納得する時間を一緒に過ごしていきましょう。

その先に、誰かの前で話すときも、自分らしく、自分の呼吸を感じながら、言葉を紡いでいける未来が待っています。

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