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ブログ | 心の傷を癒す新しい選択肢。オンラインで手軽に。EMDRとフラッシュテクニック ソマティックエクスペリエンシング

ソマティック・エクスペリエンシング™︎

不安とソマティック・エクスペリエンシング™︎ 破局性と制止学習を中心に

不安症を抱えているとき、私たちの自律神経系は「闘争・逃走モード(交感神経の過覚醒)」に固定されがちです。本来なら危険が去ればリラックスできるはずが、神経系が「まだ危険だ!」と誤作動を起こし続けているのです。

この過剰なエネルギーが思考に流れ込むと、「破局的思考」が生まれます。「心臓がドキドキする(身体感覚)」→「死ぬかもしれない(破局的解釈)」→「もっと怖くなる(増幅)」というループに陥ります。つまり、破局的思考は「体の中に閉じ込められた過剰な生存エネルギー」が、なんとかその理由を説明しようとして作り出した物語のようなものです。

SEによる介入:思考ではなく「体」からアプローチする
一般的なカウンセリングが「考え方を変える」ことに焦点を当てるのに対し、SEは「体の感覚(フェルトセンス)」を整えることで、結果的に思考を静めていきます。

1. リソーシング(資源化)
まずは、あなたが今この瞬間に「少しでも楽だ」「安全だ」と感じられる感覚を見つけます。それは、お気に入りのクッションの柔らかさや、足の裏が床についている感覚かもしれません。安心できる感覚を育てることで、神経系に「今は安全だよ」という信号を送ります。

2. タイトレーション(滴定)
不安という大きな塊に一度にぶつかるのは危険です。SEでは、化学実験で一滴ずつ液体を落とすように、非常に小さな範囲で未完了のエネルギーに触れていきます。「胸のざわつき」を全部感じるのではなく、その「端っこ」の感覚だけに注目し、体がそれを処理できるスピードに合わせます。

3. ペンジュレーション(振り子運動)
「嫌な感覚(不安)」と「リソース(心地よさや中立な感覚)」の間を、振り子のように行き来します。不快な感覚にずっと留まらず、定期的に安全な場所に戻る練習を繰り返すことで、神経系は「不快感があっても、また安全に戻ってこれる」という弾力性(レジリエンス)を取り戻していきます。

4. 自己調整の完了
体がリラックスし始めると、深い溜息が出たり、あくびが出たり、体が温かくなったりすることがあります。これは、閉じ込められていたエネルギーが解放され、神経系が再調整されたサインです。体が落ち着けば、自然と「最悪の事態が起こる」という破局的なイメージは力を失い、冷静な思考が戻ってきます。

制止学習

不安症や破局的思考を乗り越えるための重要な鍵として、心理学には「制止学習(Extinction Learning)」という概念があります。これにソマティック・エクスペリエンシング®(SE™)の視点を組み合わせると、より回復のプロセスが具体的になります。

制止学習とは:脳の上書き保存
かつて怖い思いをした際、脳は「特定の刺激(例:人混み、動悸)」と「危険(例:倒れる、パニックになる)」をセットで記憶します。これを「恐怖学習」と呼びます。

制止学習とは、単に恐怖を忘れることではなく、「その刺激があっても、実際には安全だった」という新しい学習を上書きするプロセスです。 「人混みに行ったけれど、何も起きなかった」という新しい安全な体験が、「人混み=危険」という古い記憶を抑え込む(制止する)力を持ちます。

SEが制止学習を加速させる理由
しかし、不安症が強いときは、頭で「大丈夫だ」と思っても体が「いや、危険だ!」と叫んでいるため、制止学習がうまく進みません。ここでSEの介入が効果を発揮します。

1. 身体の「安全信号」を強める
制止学習を成功させるには、新しい「安全な記憶」を脳に深く刻む必要があります。SEでは、不安な場面に直面したときに、ただ耐えるのではなく、同時に「足が地に着いている感覚」や「自分の腕の温かさ」など、**今この瞬間の安全な身体感覚(リソース)**を同時に感じ取ります。 これにより、「不安はあるけれど、体は支えられている」という強固な安全の記憶が脳に書き込まれます。

2. 「期待違反」を神経系で体験する
制止学習の肝は「予想していた最悪の事態(破局)が起きなかった」という期待違反を実感することです。 SEの介入では、ごく小さな不安に触れ(タイトレーション)、その時に体がどう反応するかを観察します。破局的思考が「死ぬ!」と叫んでも、体が「あれ? 呼吸は続いているし、心臓も少しずつ落ち着いてきた」という事実を直接体験することで、脳は「自分の予想は外れた=自分は安全だ」という制止学習を強力に完了させることができます。

3. 過覚醒を抑えて「学習可能」な状態にする
脳の「扁桃体」という部分がパニック状態(過覚醒)だと、新しい学習は受け付けられません。SEによって自律神経を落ち着かせ、「窓(耐性の窓)」の中に留まることで、脳は初めて「あ、今は怖がらなくていいんだ」という制止学習を処理できるようになります。

SEを用いたアプローチは、思考での「言い聞かせ」ではなく、「身体を通じた新しい安全体験の積み重ね」によって、古い恐怖の回路を静めていく作業です。

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