ソマティック・エクスペリエンシング™︎
【体験記】身体から心を解き放つ。ソマティック・エクスペリエンスが教えてくれた「静かな安心感」の作り方
「なぜかいつも胸がざわついて、落ち着かない」 「過去の出来事が、今も体のどこかに張り付いている気がする」
そんな言葉にできない生きづらさを抱えている時、私たちはつい「考え方を変えよう」と頭で解決しようとしがちです。けれど、心と体は私たちが思う以上に深く、密接につながっています。
私がソマティック・エクスペリエンス(SE™)という身体心理療法に出会ったとき、一番の驚きは「過去を詳しく語らなくていい」ということでした。代わりに求められたのは、今この瞬間の、足の裏の感覚や、呼吸の深さに意識を向けること。
今回は、私が体験したSEのプロセスと、日々の暮らしの中で自律神経を整えるために実践している「食事のコツ」についてお話しします。
野生動物に学ぶ「震え」の知恵
SEの理論のベースには、野生動物の観察があります。シマウマはライオンに襲われ、命からがら逃げ延びたあと、全身を激しく震わせます。この震えは、生き延びるために体内に溜まった莫大なエネルギーを放出するための、本能的な防衛反応です。
翻って、私たち人間はどうでしょうか。ショックなことがあっても、人前で取り乱してはいけない、冷静でいなければと、その震えを抑え込んでしまいます。行き場を失ったエネルギーは、神経系の中に「凍りついた」状態で閉じ込められ、それがやがて慢性的な不安やパニック、体のこわばりとなって現れるのです。
SEのセッションでは、この「凍りついたエネルギー」を、安全な環境の中で少しずつ、溶かしていく作業を行います。
身体の「微細な感覚」を味方につける
初めてセッションを受けた時、私は自分の体がどれほど緊張しているかに気づいていませんでした。セラピストの方は、私の悩みを聞く前に、優しくこう問いかけました。
「今、椅子の背もたれに触れている背中の感覚はどうですか? どこか、少しでも楽だと感じる場所はありますか?」
大きな苦しみの中にいても、体のどこか一部分だけは、意外とリラックスしているものです。その小さな「心地よさ(リソース)」を見つけ出し、そこを拠点にして、少しずつ緊張している部分に触れていく。これをSEでは「しずくを垂らす(滴定)」と呼びます。
一気にトラウマに向き合うのではなく、コップから水が溢れないように、一滴ずつ慎重に。この丁寧なプロセスこそが、神経系を再構築し、本当の意味での回復をもたらしてくれました。
身体の内側から神経系をサポートする「食事」の役割
SEで神経系の土台を整える一方で、私が日常で大切にしているのが「食事」です。自律神経のバランスを整えることは、心の器を広げることにもつながります。
自律神経が乱れている時は、血糖値の急激な変動が「不安感」を助長してしまうことがあります。甘いものやパンだけで食事を済ませるのではなく、タンパク質(お肉、お魚、大豆製品)をしっかり摂ることで、セロトニンなどの「幸せホルモン」の材料を補うよう心がけています。
特に意識したいのは、以下の3つの栄養素です。
・ビタミンB群:豚肉や玄米に含まれ、神経の働きを正常に保ちます。 ・マグネシウム:海藻類やナッツに含まれ、筋肉の緊張を緩めてくれます。 ・GABA(ギャバ):発芽玄米やトマトに含まれ、興奮した神経を鎮める助けになります。
「何を食べるか」と同じくらい大切なのが、「どう食べるか」です。テレビやスマホを見ながらではなく、一口ごとに食べ物の食感や温かさを味わう。この「マインドフルな食事」自体が、SEで大切にしている身体感覚へのアプローチそのものになります。
今、ここにある安心感を取り戻すために
SEを経験してから、私は自分の体のサインに敏感になりました。「あ、今肩が上がっているな」「呼吸が止まっているな」と気づくたびに、そっと足の裏の感覚に戻る。それだけで、世界が少しだけ静かに、安全に感じられるようになります。
もしあなたが、ひとりで抱えきれない重荷を感じているのなら、身体という賢いパートナーの力を借りてみませんか。