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心理検査

MMPI-3と自殺予防

MMPI-3の自殺予防における臨床的有効性
MMPI-3は、先行研究で確立されたMMPI-2-RFの尺度構成を継承・洗練させた心理検査です。自殺リスクの評価においては、単一の質問への回答ではなく、複数の心理的ドメインを統合して分析できる点が最大の特徴です。

1. 直接的な自殺念慮の評価(SUI尺度)
MMPI-3のSUI(Suicidal/Death Ideation)尺度は、自殺に関する考えや計画、過去の試みを直接的に測定します。この尺度は、臨床現場において最も即時性の高いリスク指標として機能します。

2. 絶望感と無力感(HLP尺度)
自殺行動の強力な予測因子として知られる「絶望感」をHLP(Helplessness/Hopelessness)尺度で評価します。未来に対する悲観的な見通しは、精神医学的に見て自殺リスクを高める主要な要因です。

3. 妥当性尺度による過小報告の検知
自殺のリスクを抱える患者が、入院を避けたいなどの理由で症状を意図的に隠す(Underreporting)場合があります。MMPI-3の妥当性尺度は、回答の歪みを統計的に検知し、見逃しのリスクを低減させます。

エビデンスとなる主な論文と研究データ
MMPI-3の自殺関連尺度に関するエビデンスは、主にその先行版であるMMPI-2-RFの研究成果に基づいています。

精神科外来・入院患者における予測妥当性
以下の論文では、MMPI-2-RFのSUI尺度が、他の臨床尺度や抑うつ尺度と比較しても、将来の自殺関連行動を有意に予測することが示されています。

Grassman et al. (2017)
Psychometric properties of the MMPI-2-RF Suicidal/Death Ideation (SUI) scale in a psychiatric sample.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28841044/

退役軍人および高リスク群での研究
米国防総省や退役軍人病院でのデータにより、SUI尺度が実際の自殺企図や自傷行為と強い相関を持つことが確認されています。

Anestis & Joiner (2011)
Examining the role of the MMPI-2-RF in the assessment of suicide risk.
https://doi.org/10.1080/00223891.2011.594123

MMPI-3の技術マニュアルと標準化データ
MMPI-3自体の妥当性については、開発者であるBen-Porath教授らによる技術マニュアルに、臨床群と標準化群の比較データが詳細に記載されています。

Ben-Porath & Tellegen (2020)
MMPI-3 Manual for Administration, Scoring, and Interpretation.
(※これは書籍・マニュアル形式ですが、ピアレビューを経た膨大なデータセットに基づいています)
University of Minnesota Press – MMPI-3 Information

結論
MMPI-3は、SUI尺度による直接的評価、HLP尺度による絶望感の把握、そして妥当性尺度による回答の信頼性チェックという多層的なアプローチにより、自殺予防のスクリーニングにおいて極めて高いエビデンスレベルを維持しています。ただし、これらは臨床面接や行動観察と併用されることが国際的なガイドラインでも推奨されています。

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