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フラッシュテクニック

フラッシュテクニックの効果は持続するのか 

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論文名: Preliminary evidence for the acceptability, safety, and efficacy of the flash technique (フラッシュテクニックの受容性、安全性、および有効性に関する予備的証拠)

著者: Manfield, P., Engel, L., Lovett, J., Greenwald, R., & Bullard, D. G.

ジャーナル名: Frontiers in Psychiatry

発行年: 2023年 の要約です
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はじめに 心に深い傷を負った方々にとって、その記憶を思い出すことは、再びその場に立たされるような激しい苦痛を伴います。これまでの治療法の多くは、その苦痛を避けては通れないものとしてきましたが、フラッシュテクニックは、その常識を根底から覆す可能性を持っています。この手法は、脳が情報を処理する仕組みを巧みに利用することで、本人が苦しむことなく、かつ極めて短時間で心の平穏を取り戻すことを目指しています。今回、世界各地で行われた研究データを詳しく見ていくことで、その驚くべき効果と、1年半以上にわたる長期的な安定性が明らかになりました。

フラッシュテクニックが脳に働きかける仕組み なぜ、辛い記憶を直視せずに改善が進むのでしょうか。私たちの脳には、情報を整理し、保存し直す再固定化という機能があります。しかし、強烈なトラウマがある場合、それを思い出そうとするだけで脳の防衛本能が過剰に働き、パニック状態に陥ってしまいます。そうなると、脳は冷静に情報を整理することができません。 フラッシュテクニックでは、まず意識を心地よいイメージや好きな活動に向け、脳をリラックスさせます。その状態で、まばたきというごく短い刺激を加えることで、トラウマの記憶を意識に上らないほど一瞬だけ活性化させます。脳はパニックを起こす暇がないため、その記憶を安全なものとして処理し、静かに過去の引き出しへと収めることができるのです。

4つの研究から見る驚異的な即効性 この論文では、米国、オーストラリア、ウガンダという異なる国々で実施された4つの主要な調査結果を統合しています。合計654名の参加者が、平均してわずか15分程度の短いセッションを体験しました。 不快感の強さを0から10の数値で表す指標(SUD)を用いた結果、すべての研究で劇的な変化が見られました。 研究1では、最初に不快な記憶を特定してから1時間半ほど何もしない時間を設けましたが、その間は不快感の数値に変化はありませんでした。しかし、フラッシュテクニックを開始した途端、数値は一気に低下しました。 具体的には、研究1では6.80あった数値が2.35まで下がり、研究3や研究4にいたっては、もともと7.7から8.2という非常に高い数値だったものが、セッション後には1.2前後という、ほぼ気にならないレベルまで改善しました。参加者の多くが、たった15分でこれほどの変化が起きるとは予想していなかったと述べています。

18ヶ月後の追跡調査で見えた長期的な持続性 多くの方が気になるのは、その場限りの効果ではないのかという点でしょう。今回の論文において最も重要な発見の一つが、18ヶ月後、つまり1年半が経過したあとの追跡調査の結果です。 研究2の参加者のうち、当初9.48という考えられる最大級の苦痛を抱えていた層に焦点を当てて調査が行われました。その結果、18ヶ月が経過した時点でも、不快感の平均スコアは2.2から2.3という低い水準を維持していました。 これは、一度下がった数値が時間の経過とともに再び上昇してしまう戻り現象が起きていないことを示しています。回答者の実に74パーセントが、この手法によって長期的な症状の軽減を実感し続けていると回答しました。たった一度の短いセッションが、1年半後の心の安定にまで寄与している事実は、この手法が脳の深い部分で恒久的な情報の書き換えを行っていることを示唆しています。

安全性の確認と副作用のなさ 治療において安全性は最も重視されるべき点です。この研究では計813回のセッションを詳しく追跡しましたが、重篤な副作用や心の不調が悪化したケースは一件も確認されませんでした。 全体の0.3パーセント未満という極めて稀なケースで、一時的に不快感が高まった方が2名いましたが、彼らもその直後に行われた2回目のセッションでは不快感が大幅に減少しました。このことは、フラッシュテクニックが非常に繊細な心の状態にある方に対しても、安心して提供できる手法であることを物語っています。

まとめ フラッシュテクニックは、短時間で効果が出るだけでなく、その効果が1年半以上にわたって安定して続くという強力なエビデンスを持っています。辛い過去を何度も語り直す必要がなく、自分の心を守りながら進められるこの手法は、トラウマケアの新しい希望となります。 グループワークでも個別のセッションでも同様に高い効果が得られるため、今後は災害支援や日常的なストレスケアなど、より広い場面で活用されることが期待されています。この研究結果は、心の回復には必ずしも耐えがたい苦痛を伴う必要はないということを、科学的な数値をもって証明しています。

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