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認知行動療法

不安の強い方への新しい取り組み 制止学習

不安症の渦中にいるとき、私たちの心と体は常に「警報」が鳴り響いているような状態にあります。この苦しさを解消するために、近年心理学の世界で注目されているのが「制止学習(せいしがくしゅう)」という考え方です。

少し難しい名前に聞こえるかもしれませんが、中身はとてもシンプルです。一言で言えば、脳に「ここはもう怖がらなくていい場所なんだよ」という新しい安心の記憶を上書きしていく作業のことです。

これまで不安と戦ってきたあなたへ、少しでも心が軽くなるような、制止学習の優しい取り入れ方をお伝えします。

「慣れる」ことよりも「発見する」こと

これまでの不安症のケアでは、「怖い場所にいれば、そのうち慣れて不安が下がる」という考え方が一般的でした。しかし、制止学習は少し違います。

不安が下がるのを待つのではなく、「もし~をしたら、きっと恐ろしいことが起きる」という自分の予想が、実際には外れることを確認するのが一番の目的です。

たとえば、「人混みに行ったら倒れてしまう」と信じている人が、実際に人混みに行ってみて「あ、フラフラしたけれど倒れなかった」と気づく。この「予想外の結果(期待違反)」こそが、脳の回路を書き換える強力なスイッチになります。

不安を「打ち消す」ための4つのヒント

脳が「あ、大丈夫なんだ」と納得しやすくするためには、いくつかコツがあります。

  1. 「もしも」の正体を見極める まずは、自分が何を一番恐れているのかを言葉にしてみましょう。「パニックになるのが怖い」だけでなく、「パニックになって、倒れて、誰にも助けてもらえず笑われるのが怖い」というように、具体的にしてみるのがポイントです。

  2. 「お守り」を少しずつ置いていく 不安なとき、薬を握りしめたり、常に逃げ道を確認したりしていませんか? これらは「安全確保行動」と呼ばれ、短期的には助けになりますが、実は脳が「お守りがあったから助かっただけで、本当は危なかったんだ」と勘違いし続ける原因にもなります。少しずつ、この「お守り」を手放して実験してみることが、本当の安心への近道です。

  3. 色々な場面で試してみる 脳は意外と頑固です。「このカフェなら大丈夫」と思えても、「別のカフェではダメかも」と疑ってしまうことがあります。場所を変えたり、時間帯を変えたりして、「どこでも大丈夫だった」という証拠を集めていきましょう。

  4. 予想外を組み合わせる 「体調が悪いとき」や「寝不足のとき」など、あえて条件が悪いときに試して、それでも大丈夫だったという経験をすると、脳はより強く「自分は大丈夫だ」と学習してくれます。

日常の中での取り組み例

身近な不安を例に、どのように「新しい記憶」を作っていくかを見てみましょう。

人目が気になる方なら 「派手な色の服を着て歩いたら、みんなに指をさされて笑われる」と予想してみます。実際に着て歩いてみて、通行人の反応を観察します。「意外とみんなスマホを見ていて、自分のことなんて見ていないな」と気づけたら、それが制止学習の成功です。

体の異変が怖い方なら 「動悸がしたら死んでしまう」と怖いのなら、あえてその場で足踏みをして心拍数を上げてみます。「心臓はドキドキしているけれど、時間が経てばちゃんと収まるし、死なない」という事実を、体で直接感じ取ることが大切です。

焦らなくて大丈夫、脳はゆっくり変わります

制止学習で大切なのは、不安をゼロにすることではありません。「不安はあるけれど、最悪なことは起きない」という感覚を育てることです。

不安を感じる場所に飛び込むのは、とても勇気がいることです。まずは、10点満点のうち3点くらいの「ちょっと怖いかな」という小さな実験から始めてみてください。

もし実験の結果、不安が強く残ってしまっても「失敗」ではありません。「今日はここまで挑戦できた」という事実は、着実にあなたの脳に刻まれています。

あなたの脳は、あなたを守ろうとして一生懸命にアラートを出してくれています。その脳に「もう大丈夫、守ってくれなくていいよ」と優しく教えてあげる。そんなイメージで、一歩ずつ進んでいきませんか。

まずは、あなたが普段「これが起きたらどうしよう」と不安に思っていることを、1つだけメモしてみることから始めてみませんか? よろしければ、その不安が「実際にはどうなりそうか」を一緒に考えてみるお手伝いをさせてくださいね。

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