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カウンセリング

フラッシュテクニック(Flash Technique)の補助的工夫(アンブレラテクニック・タオルワーク)

フラッシュテクニック(Flash Technique)はトラウマや強い不安記憶への曝露を最小限にしながら処理を進める方法ですが、その中で使われる「アンブレラテクニック」や「タオルワーク」は補助的に用いられる工夫です。簡単ですが以下に説明します。

アンブレラテクニック(Umbrella Technique)

  • 目的:クライエントが一つひとつのつらい記憶に直接向き合うのを避けつつ、複数の関連した記憶をまとめて扱えるようにする方法。
  • やり方
    1. クライエントに「たくさんの似たような嫌な出来事」を一つひとつ思い出すのではなく、それらを大きな傘の下に入れて包むようにイメージしてもらう。
    2. 具体的な詳細は意識しないまま、「傘の下にあるまとめられた記憶」というかたまりとして扱う。
    3. その「傘の下の全体」を対象にしてフラッシュテクニックを進める。

こうすることで、細かい記憶に圧倒されるのを避けつつ、関連するトラウマ全般に効果を広げられるというメリットがあります。

タオルワーク(Towel Work)

  • 目的:トラウマ記憶や映像が強すぎて、フラッシュテクニックを試みても「イメージがくっきり浮かんでしまう」クライエントに対する工夫。
  • やり方
    1. 頭の中でその記憶のイメージを思い浮かべるときに、タオルや布をイメージの上にかけるようにしてもらう。
    2. すると映像がはっきり見えなくなり、あいまいに隠された状態で扱える。
    3. その「ぼんやりした記憶の存在感」だけを対象にしてフラッシュテクニックを実施する。
    4. 身体的に怒りを感じているようであれば、実際のタオルを使って絞ったりすることで怒りを安全な形で表出することも可能です。

これにより、鮮明すぎるフラッシュバックを避け、過度の苦痛を減らしながら処理が可能になります。

 

アンブレラテクニック導入例

「いくつか似たようなつらい出来事があるようですね。ひとつひとつを思い出す必要はありません。むしろ、それらを全部まとめて大きな傘の下に入れてしまうようにイメージしてみましょう。細かい場面を思い出す必要はなく、その“傘の下にある全体”を感じられれば大丈夫です。その状態で一緒にフラッシュをやっていきましょう。」

これにより、クライエントは記憶の細部に圧倒されずに「まとまり」として対象を扱えます。

タオルワーク導入例

「その場面を思い浮かべると映像がとても鮮明に浮かんできて、つらさが強くなるのですね。そういう時には、そのイメージの上にタオルや布をそっとかけて、少しぼんやりと隠してしまうイメージを持ってみましょう。はっきりとした映像は見えなくても、そこに“ある”ことは感じられると思います。その“覆われた状態”のまま、フラッシュを続けていきましょう。」あるいは「そのことを思い出すとお腹当たりが熱くなるのですね、少し熱さを感じながら、タオル絞ってみてください、何か変化を感じますか」

 

どちらも 「細かく思い出さなくていい」「安心できる工夫をしていい」 という負担感の軽減に役立つテクニックです。

 

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フラッシュテクニック(米国)