カウンセリング
フォーカシングとソマティック・エクスペリエンシング™︎(SE)のちがいとは?〜体の感覚からこころを癒す2つの方法〜
フォーカシングとソマティック・エクスペリエンシング™︎(SE)は、どちらも体の感覚(身体感覚)に注目して心の問題をケアする心理療法です。言葉では表しにくい気持ちや記憶を、体を通して感じていくことで、心の深いところにアクセスし、癒しや気づきを得ることができます。
でも、この2つの方法にはそれぞれの特徴や違いがあります。どちらも大切な方法なので、わかりやすく比べてみましょう。
フォーカシングとSEの共通点
まずは、2つの心理療法に共通していることから見てみましょう。
■ 身体感覚に注目する
フォーカシングもSEも、頭で考えるだけではなく、**お腹の奥の感じや胸のつかえなど、体に現れる感覚(フェルトセンスやソマティック・センセーション)**に目を向けます。そこには、言葉にならない感情や記憶が隠れていることがあります。
■ 自分のペースを大切にする
どちらの方法も、セラピストがあれこれ指示を出すのではなく、クライエント(相談者)が自分の内側の感覚に気づいていく過程を大切にします。安心して、自分の感覚を探っていく体験型のアプローチです。
■ 人間の「自然な回復力」を信じている
どちらも「人にはもともと癒える力がある」というヒューマニスティック心理学の考え方がベースになっています。
フォーカシングとSEの主な違い
項目 | フォーカシング |
ソマティック・エクスペリエンシング™︎(SE)
|
---|---|---|
開発者 | ユージン・ジェンドリン |
ピーター・ラヴィーン
|
目的 | 感情の整理・自己理解・自己成長 |
トラウマの解放・神経系の回復
|
基礎 | 哲学・人間性心理学 |
神経科学・トラウマ理論・動物行動学
|
注目すること | フェルトセンス(体の奥にあるぼんやりした感覚)に言葉やイメージを与えて、意味を見つけていく |
凍りついたエネルギー(闘う・逃げる・固まる反応)を体の感覚を通して解放する
|
やり方 | 自分の内側の感覚に静かに注意を向け、意味を探る。言葉やイメージを使う。1人でも実践できる。 | 不快な感覚に少しずつ(タイトレーション)触れながら、安心できる感覚と行き来(ペンデュレーション) し、体の震えや暖かさ、動きなどを通じて自然に回復する |
対象 | 感情を整理したい人、心の深い部分を理解したい人 |
PTSD、不安、パニックなど、トラウマによる不調に悩んでいる人
|
進み方 | フェルトセンスから「ぴったりの言葉」が見つかると、心と体に変化(フェルトシフト)が起きる | 凍ったエネルギーが解放され、呼吸や体の感覚が整うと、神経系のバランスが回復する |
まとめ:どちらも「こころと身体をつなぐ」大切なセラピー
フォーカシングは、体の感覚を入り口に「意味」や「気づき」を深めることで、自分をよりよく理解し、成長していくためのアプローチです。
一方、ソマティック・エクスペリエンシング™︎(SE)は、トラウマで体にたまったストレスエネルギーを自然に解放し、自律神経を整えることで、安心感や落ち着きを取り戻す方法です。
両方とも、「今ここにある身体感覚」に目を向けるという共通点がありますが、目指すゴールやアプローチの仕方には違いがあります。実際には、両方の手法を組み合わせてサポートするセラピストも多くいます。
こんな人におすすめ
-
フォーカシングは:心を整理したい、自分の気持ちをもっと知りたい、安心して内面を探求したい人におすすめです。
-
ソマティック・エクスペリエンスは:トラウマや不安、身体に残るストレス反応に悩んでいる方におすすめです。
トラウマケアや心と体のつながりを大切にした心理療法に興味がある方は、ぜひフォーカシングやソマティック・エクスペリエンシング™︎を体験してみてください。