カウンセリング
EMDRの体験談と効果:トラウマ治療の現場から見えてくるもの
EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)は、心の傷やトラウマを和らげる効果があるとされる心理療法です。実際にEMDRを体験した方々の声を集めると、その効果と反応は多種多様ですが、多くの方が「心が軽くなった」「トラウマが和らいだ」と実感しています。
EMDRで感じた主な効果と変化
1. トラウマからの解放感
「過去の辛い出来事を思い出しても、以前ほど苦しくない」「記憶は残っているが、感情的に巻き込まれなくなった」──そんな声が多く聞かれます。EMDRによって、トラウマに伴う強い感情が和らぎ、客観的に向き合えるようになる人が増えています。
2. 感情のコントロールがしやすくなった
感情に振り回されがちだった人が、冷静さを保てるようになったという報告も多数あります。衝動的な行動が減り、生活全体に安定感が生まれたと感じる方もいます。
3. 身体症状の改善や生活の質の向上
不眠や頭痛、胃の不調など、心因性の身体症状が改善したという体験談も。ぐっすり眠れるようになったり、仕事や人間関係がスムーズになったりと、日常生活へのポジティブな影響が広がっているようです。
EMDRセッション中に感じたこと
・感情の揺れ
セッション中は、これまで抑えていた感情や記憶が表面化し、涙があふれたり、強い感覚に襲われたりすることもあります。これは「癒しのプロセス」の一部であり、安全なセラピー環境の中で進められることで乗り越えていけるものです。
・不思議な体験
眼球運動やタッピングといった独特な方法に「本当にこれで効果があるの?」と最初は戸惑う方もいますが、セッションを重ねるうちに変化を実感するケースが少なくありません。
・新しい気づき
EMDRの過程で、思いもよらない記憶が浮かんできたり、自分の心の奥にあった感情に気づいたりすることがあります。これは、根本的な回復に向けた大切なステップです。
一部で見られる困難な反応や注意点
EMDRは高い効果が期待される一方で、以下のような一時的な困難を経験することもあります。
- フラッシュバックや感情の不安定さ
治療中にトラウマ記憶が蘇り、強い苦痛を感じることがあります。また、セッション後に気分が不安定になったり、感情の波が激しくなる場合もあります。 - 身体反応の悪化
不安感、動悸、吐き気、頭痛などが一時的に現れることがあります。これは抑圧されていた感情が表面化する正常なプロセスであり、セラピストと共に丁寧に進めていくことが重要です。 - 治療効果への疑問や不安
「効果が感じられない」「やり方に不安がある」といった声も一部にあります。EMDRは段階的なプロセスを重視するため、信頼できるセラピストとの関係性がカギとなります。 - 複雑なトラウマには時間がかかることも
幼少期の虐待など、長期的なトラウマには時間が必要であり、短期間で効果を求めると挫折感につながることもあります。
EMDRを受ける際の注意点と選び方
EMDRは非常に効果的な心理療法ですが、成功のカギは専門的な知識と技術を持つセラピストのもとで行うことにあります。自己流で行うことや、未熟な指導のもとで治療を受けると、症状の悪化を招くリスクがあります。
また、精神的に不安定な状態で始めると、自傷や他者への攻撃衝動が表れることも稀にあります。そのため、初回カウンセリングでしっかりと状態を評価し、安全な環境を整えることが不可欠です。
まとめ:EMDRは心の回復をサポートする有効な手段
EMDRは、心の深い部分に触れることで、トラウマやストレスからの回復を助ける画期的なアプローチです。効果を感じている人が多い一方で、一時的に苦しいプロセスを伴うこともあります。安心して治療を受けるためには、信頼できるカウンセラーや心理士との出会いが何よりも大切です。