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カウンセリング

11.【書評】「うつと不安への認知行動療法の統一プロトコル」ワークブック改定第2版 第9章「 代わりの行動をとる」 デビッドH.バーロウ

代わりの行動をとる

 この章では感情行動とは逆の、代わりの行動を取るスキルを目指します。感情駆動行動とは、いろいろな感情により生み出される自然な行動になります。例えば、悲しみを感じると引きこもるという行動、怒りによって相手に反撃したくなり、それによって自分を守るような行動などが該当します。しかしこの感情駆動行動は役立つこともあれば、それほど役立たない場合もあります。例えば、職場で嫌なことがあったときに大切な人や周りのものに当たり散らしたとしましょう。別のことでストレスを感じているのに、大切な人やものに当たっても問題が解決しません。わかっていながらも、当たり散らしてしまうのはどうしてでしょうか?それは私たちが、苦痛を即座に、短期的に紛わせようと行動しがちな傾向があるからです。大切な人や物に当たり散らせば、そうしている瞬間は少しだけ気分が紛れます。かゆいところを変えてるような感じです。当たり散らす行動によって緊張から解放されたように感じるかもしれません。しかし、その開放感は、瞬間的なもので長続きしません。

 また感情が生じそうな状況を回避しようとして問題になることがあります。人はいろいろなことを想像する能力があるために、現実には起こっていないことまで考え、ある状況が感情を引き起こすかもしれないと想像し、それを防ぐための行動を取ることがあります。

 例えば、会食を避ければ、短期的には不安を感じずにすみます。しかし、長期的に見た場合、友達との付き合いを一切避け、続けていれば、人間関係がうまくいかなくなるでしょう。

 こうなると、人と関わる事はとても危険であると思えてしまう場合もあります。

 そこでこの章では、強い感情を感じたときに、これまでとっていた行動とは違う行動をとっていくことを学んでいきます。

 例えば、パニックがある場合にパニックを恐れて、人混みをいつも避けていたら、自分が人混みに耐えられないと思い続けることになります。しかし、ある程度接近するならば、自分がどの程度を耐えられるのかを学習することができます。このように今までとは違う行動をとることによって、認知を更新していきます。

 例としては

恐怖:感情駆動行動→人や場所からの回避 代わりの行動→その場所に留まる

悲しみ:感情駆動行動→寝る 代わりの行動→友人に連絡する、散歩する

不安:感情駆動行動→確認する 代わりの行動→ありのままの現在に意識を向ける

怒り:感情駆動行動→怒鳴る 代わりの行動→淡々と話す

罪悪感:感情駆動行動→引きこもる 代わりの行動→楽しい活動をする

以上のように感情によって駆動される行動を変化させることによってパターンを変化させていきます。感情行動は短期的には苦痛を得られますが、長期的にはどんどん感情が苦手になって、自分も成長せず、生活が狭まって、実際も悪化させてきがちです。しかし、感情によって苦痛がほんの一瞬でも和らぐので、私たちは同じ感情行動を繰り返すようになります。感情行動を取ることで、自分はある状況に対処できないと言う考えがずっと維持され、強くもなっていきます。こうしたパターンを変えていくためには、代わりの行動を繰り返していくことによって状況に向き合えるようになり、避けなくても悪いことばかりが起こるわけではないことに気づけるようになります。

 

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