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【書評】うつ病の反すう焦点化認知行動療法 反すうの利点

反すうを理解するためには、その利点を知る必要があります。でないと反すうを悪とすると本来の価値すらなくなってしまうからです。利点としては

① 動機付けを高め、やる気をだす
なぜうまくいかないかを理解するには自分の欠点をあぶりだす必要があります。そのことを考えて、自らにプレッシャーをかけてパフォーマンスを高めていこうとすることが考えられます。こういう方法は短期的にはうまくいくかもしれませんが、否定的な自己評価につながるために、長期的には建設的な方向にいかないことが多い。

② 理解を深め、洞察を得る
反すう中の人が「なぜ・・・・?(Why?)」と自分自身に問いかけることが多いものです。反すうについてはこのように、困難な出来事に対して原因や意味を探るために行われることがしばしばあります。そうすることによって対処方法の確実性を高めたり、対処戦略を複数もつことも可能となります。

③ 失敗する・恥をかくリスクを避ける
本人にとって困難な状況や何かしらのリスクがあると知覚された場合、反復的な思考が形成されます。このような状況の中で何おきるのか、行動後のリスクがないだろうか、どういう意味があるかなどを長時間考えることになる場合があります。著作には記載がありませんが、反すうすることで、実際に行動する不安をイメージによって馴れていこうとするプロセスも考えられます。

④ 「望まない自分」になるのを避ける
これは衝動性の制御かと思います。行動したい思いを抑えるために反すうします。

⑤ 他者からの批判に先手を打つ、否定的な反応を予測しておく
これは他者の思考への推理になります。相手が何を考えているのかを予測したりする場合です。親から叱責が多くあったり比較されることが多いと、この傾向は敏感になるかもしれません。しかし成功すること反すうは成功体験となるため、維持される可能性が高いと考えられます。

⑥ 仕事上の困難や退屈な毎日に直面するのを避ける
  反すうすることで外的世界の退屈さや困難さ、不快な出来事から逃れる方法になる。良いイメージであっても長期化すれば非適応的になる。

⑦ 感情をコントロールする
 反すうには感情をコントロールする機能があり、たとえば否定的な思考を反すうにより、怒りにシフトさせてエネルギーを高めたり、自分を正当化することもできる。

⑧ 弁解・言い訳をする
実際に直面した問題に対して行動できない場合、反すうは言い訳として機能する。一時的にはよいが、問題が継続したままであれば修正が必要となる。