コラム
禁煙と認知不協和理論
認知不協和理論というのが心理学の世界にあります。タバコは身体に悪いことはわかっている、でもタバコはやめられない。そこに心理的不快感が生じます。思考を変えてストレスのない状態にしなければなりません。そこでいろいろと考えます。よくあるのは、タバコは身体に悪いと言っているが、それは嘘のデータで捏造であるというものです。巧妙な理屈になると、肺癌のデータと喫煙率の時系列データが一致していない。喫煙率が下がっているのに、肺癌が増えているのはおかしいではないか!タバコに害はない、といった議論です。肺癌はタバコ以外の別の要因なのかもしれませんし、喫煙率が下がったとしてもそれがすぐに癌の発症率に反映されるわけでもないかと思いますが、いかがでしょうか。喫煙者の喉頭癌や咽頭癌の発症率の高さはどう説明するのでしょうか。多くの依存症の方をみてきましたが、とにかく理屈を考えるのが特徴です。巧妙なものから屁理屈レベルまでいろいろとありますが、とにかく言い訳を考えます。以前アルコール依存の方で“日本という酒の飲める国に生まれたのが原因、イスラム圏に生まれてればこのようにはならなかった”と言われ、返す言葉がなかったことを憶えています。これほど極端ではないにせよ、“タバコは付き合いには必要だよ”とか“これがないと生きていけない”といった主張はよくあることです。子どものころにタバコがなくて死にそうになったことはありますか?と言いたくなりますが、そのような言動は受け入れてはもらえません。禁煙を志したのであれば、こうした理屈で自分自身をごまかしてはいけません。こうした理屈は錯覚です、薬物が作り出すマインドコントロールです。禁煙こそが唯一の選択肢であることを認識していきましょう。禁煙によって失うものは何一つないことを理解しましょう。むしろ禁煙を続けることによって得られるものが多くあることを体験するようになるでしょう。すぐにタバコで使っていたお金が戻ってきます。喫煙のために使っていた時間が戻ってきます。身体が軽くなり快活になります。貴方を煙たがって近づくことを嫌がった人たちが臭いのないことに気づき、貴方の前に戻ってくるようになるでしょう。禁煙したからといって錯乱状態になったり、頭を掻きむしったりしてストレスで死んでしまうということはないのです。ご安心ください。