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ブログ | 広島のカウンセリング・心理療法 E-Life カウンセリングセンター

禁煙

タバコの渇望に関する脳研究:禁煙セラピーへの応用

2013年に理化学研究が発表した渇望に関する研究によると、大脳前頭前野の二つの部位の連携がタバコの渇望に関連しているとのことです。一つ目は背側前頭前野、二つ目は眼窩前頭皮質で、この連携によって渇望が生じるようです。渇望はその物質が使える環境であるかどうかで左右されやすいことが知られています。何度も服役している覚醒剤患者によると、服役中はあまり薬物使用の渇望を感じないと何度か聞いたことがあります。そうなると受刑者は薬物依存は治ったと感じてしまいます。しかし仮出所が決まったりすると、今まで脳内に潜んでいた渇望が疼き始めるそうです。すると出所してある程度お金を手に入れるとすぐに薬を買いに行ってしまいます。また逮捕されて服役という繰り返しになります。タバコも同様なことが言えます。健康診断で悪い結果を指摘されて、禁煙を決意したとします。数週間たつとニコチンはすぐに体内に排出されますので、身体依存は脱却しています。しかし禁煙によって体調が戻ると、1本くらいは大丈夫ではないかと囁きがはじまります。そして葛藤が生じ、次に身体反応が生じて再喫煙に至ります。理化学研究所の研究では渇望を強める部位として眼窩前頭皮質、また状況によって渇望を変化させる部位として背側前頭前野をあげています。また強い渇望はこの二つの部位が連携したときに生じることを突き止めました。さらにユニークなのは経頭蓋磁気刺激法によってこの二つの部位の連携を弱めたところ、喫煙できる環境とそうでない環境によらずとも、渇望が減っていることを突き止めました。これはとても興味深い研究です。心理療法としては磁気を当てることができませんが、喫煙できる環境かそうでない環境かによって渇望が大きく異なることは、心理療法が介入できる余地を与えています。禁煙セラピーでは喫煙するメリットに焦点をあてています。このセラピーのエッセンスは喫煙にメリットがないことを強調しているのです。こうした認知的理解を強めていくことは渇望をつかさどる2つの部位の連携をブロックできるのかもしれないと思った次第です。