カウンセリング
セルフコンパッション バックドラフト現象
セルフコンパッション バックドラフト現象
セルフコンパッションのワークによって事故に対して思いやりを持って接していくようになると、一時的に感情が強く表出することがあります。このセラピーでは、この現象をバックドラフトと呼んでいます。バックドラフトは本来、火事などの際に窓や扉を開いた際に酸素がくすぶった火元と反応してしまい、爆発を起こす現象を言います。セルフコンパッションのセラピーでは、酸素は自分への優しさやいたわりのようなものと喩えられます。くすぶった火元はトラウマ体験やアダルトチルドレンのような家族機能不全によってもたらされた心の傷だったりします。バックドラフトの原因については以下が考えられます。
1 過去の体験が際立ってしまう
自己に対して優しさが、過去のネガティブな体験を際立たせてしまい、感情的に不安定になるから。
2 居心地の悪さや違和感
自己批判的な方法で自分を律してきたものが、今までにない方法で自分自身と対話するため、居心地の悪さや違和感を感じるから
3 防衛規制が緩む
自己批判によって避けてきた感情や記憶に直面するため苦痛が生じる
4 固定概念が覆されるから
過去の心の傷から、「自分は汚れた人間」、「必要とされていない人間」とずっと思い込むことによって心のバランスを保っていたものがコンパッションによってその肯定概念が表面化、あるいは崩壊して一時的に不安定になるから
5 「愛情・いたわり=危険」という誤学習
幼少期にケアや支援を求めて拒絶された体験があると、ケアを受けること、あるいはケアをすることに危険なもの、またトラウマサバイバーにとっては甘えずに頑張ってきたという自負があることから、こうしたプライドを揺るがすことが考えられます
6 行動化
自分に優しく接することで過去の記憶が表面化します。そのことによって怒りや悲しみの矛先がトラウマを与えた対象者に向けられます。このことによってトラブルが生じ、罪悪感などが生じます。
以上のようなことが一時的に生じますが、ケアの通過点とも言えるので、歓迎されるべき現象ともいえます。急にそのようなことが生じると、マイナス面も増えるので、以上のようなことが生じることを前もって知っておくことが大切です。
クリスティン・ネフ(Kristin Neff)のセルフコンパッションのページ