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ブログ | 心の傷を癒す新しい選択肢。オンラインで手軽に。EMDRとフラッシュテクニック 

カウンセリング

フラッシュテクニックとIFS(内的家族システム)の相互作用

フラッシュテクニックは日本においては最近導入されたものなので、事例研究等はほとんどないと言っていいと思います。一方、欧米などでは、実践的な報告が多く様々な工夫がされています。いろんな心理療法を組み合わせたものも多く存在します。

組み合わせとしてはフラッシュテクニックとEMDRになります。そもそもフラッシュテクニックはEMDRを土台にしているためです。フラッシュテクニックはトラウマやフラッシュバックに用いることが多いため、以前からこのような症状に用いられる心理療法を融合させて実施することもあります。

 

トラウマに用いる心理療法としてIFS(内的家族システム)があります。この心理療法はリチャード・C・シュワルツ博士によって開発されました。この療法では個人は様々な視点や感情、性格というものは副人格(パーツ)によって形成されており、それぞれのパーツは家族のように支えあったり、対立したりしながら自己を支えているということを中核的思想としています。パーツとしては大きく3つに分類されています。

 

1 追放者(エグザイル)

追放者のパーツは過去、特に幼少期に恥や否定される、虐待を受ける、無視されると言った大きな傷つき体験があり、内的システムを圧倒しないように追放者意識から遠ざけられた存在です。意識から遠ざける必要があるため、他のパーツによって多くのエネルギーが消費されます。

 

2 管理者(マネージャー)

このパーツは先回りしたり、準備したりして心の安定化を図ろうとするものです。エグザイルが傷つかないように懸命に働きます。時には完璧主義だったり、批判的、回避的だったりします。

 

3 消防士(フィイヤーファイター)

出来るだけ早く感情的な痛みを解消するパーツです。行動としては激しく、過食嘔吐、嗜癖、自傷、解離などがありますが、痛みを和らげるために懸命に働いています。

 

Self

シュワルツの定義ではセルフは心のバランスの中心であり、意識の座としています。ここは思想や宗教的なものによっても解釈が変わってきます。ユング的な解釈でも可能ですし、真我などと言えるかも知れませんが、IFSでは「パーツでないあなた」ということになるようです。IFSの治療ではいかにSelfにアクセスするかです。そのために様々なエクササイズが考案されています。シュワルツはこのSelfを8つの特性を持つとしています。

 

自信を持って取り組んだこと(Confidence)

好奇心を持って取り組んだこと、あるいは取り組んでいること(Curiosity)

思いやりをもって関わってきたこと(Compassion)

創造的な活動(Creativity)

人や動物と楽しく有意義な活動(Connectedness)

集中し明晰な思考が生じたとき(Clarity)

勇気をもって活動したこと(Courage)

落ち着いて対応した時(Calm)

 

この8つのCはフラッシュテクニックの肯定的体験を探すのに役立ちます。こうした体験は人生そのものの土台となっている場合が多く、トラウマ的な体験を緩衝させるのに有用です。フラッシュテクニックをIFSの考えを持ち込む際にはまずはSelf的な体験を探すことが大切だと思えます。見つからないこともあるかも知れませんが、この8つの特性につながる体験は高い確率で見つかる可能性があります。ただ、パーツへの負担が大きい場合に、このような肯定的体験を見つけ出すことが難しくなっていることも考えられます。

 

パーツへの焦点

パーツはそもそもトラウマ体験と結びついていることが多いので、肯定的体験として選定されることは第一優先ではないと思いますが、傷ついたパーツをいたわったりすることにより、それが肯定的体験として結びつきそうであれば接近してみることもあるかと思います。またそのパーツが負担をおろす時に感じる、軽快感なども肯定的体験として扱うことは可能かと思えます。またパーツの負担が減ればSelfへのアクセスが容易になり、今まであった肯定的な体験を見つけ出すことも考えられます。

 

フラッシュテクニック

https://ifs-institute.com/

IFSインスティチュート(米国)

https://ifs-institute.com/

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